・ハデスとペルセポネはドンピシャ。ケルベロスは面白いかなと。
・問題の日、ブキャナン家のランチの集まりに招待されたギャツビーはトムら5人で昼食をとった。この時点でギャツビーは冥界から出られません。あの世で食事をして帰れなくなるという話は古事記にもあります。
・テセウスはポセイドンとアイトラの子という説で。
・図にはないけど、ギャツビーが相続するはずだったダン・コーディーの遺産を横取りした女新聞記者のエラ・ケイは「メデイア」で当たりでしょう。
【おまけ】ギャツビーと影とアニマの関係を図にしてみた。
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天使のたまご(アニメ)
・初見では意味不明だったアニメ。あれから約20年経った今、解釈してみた。
・たまごの中身 … 成人女性、心の成長
・謎の男 … アニムス(女性の内面にある男性性)、男根
・水が入った瓶 … 女性の象徴、子宮
・螺旋階段 … DNA、母性、グレートマザー
・階段を上る … 内に秘めた可能性が開花する予兆、性的衝動の高まり
・魚 … 性的衝動、無意識(魚の影は情動で、その発生源である元型は意識化できない=捕獲できない。「魚なんて居ないのに」は元型なんてあるかどうかも分からないという意味かなと)
・兵士 … 心の葛藤(この場合、性的衝動や変化に対する恐れ、抵抗、抑圧。初恋に対する戸惑いの方が良いかも)
・兵士が投げた銛が窓ガラスを突き破る … たまごが壊れる暗示、ガラスは大切にしているもの、銛は男根
・謎の男が銃の様な武器でたまごを破壊 … 処女喪失
・謎の男を追いかける少女が地割れに落ちる … 断絶、別れ
・その後、彼女は出産。初めに戻る。このようなことが繰り返される理由は遠い昔に忘れ去られた。目玉の様な巨大飛行船が謎を解く鍵なのかもしれません。
・戦車の砲台、ジャムの小瓶に指など、リビドーを刺激する映像が多いです。
・下の画像は、謎の男がたまごを少女に返す場面とレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」。
これまでのまとめ
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心的ファンタジーとは何か?
一般的なファンタジーと区別するために私が勝手に心的ファンタジーと呼ぶものを二つの文献から引用して説明します。次に心的ファンタジー映画を紹介します。
・心の底からわき起こってくるもので、ファンタジー自身が自律性をもつ。
・頭のなかの空想は、こちらの止めたいときに止められるが、ファンタジーは動き出すと、止めがたい力を持っている。
・孤独なときによく動き始める。人間関係のあるときは、日常世界のはたらきが強すぎて、ファンタジーの動きを止めてしまう。
・ヌミノースムの体験。それは神秘的なものに対する恐れ、圧倒される感じ、抗しがたい魅力という要素がある宗教的体験。
・人間が考え出すものではなく、どこか他の世界から、人間の心の中に湧き出てくるもの。
・無意識から湧き出てくる内容に対して、意識が避けることも圧倒されることもなく対峙し、そこから新しく生みだされてくるもの。
・魂の現れ。人間の魂は常にファンタジーを人間の心の中に送り込んできている。
――― ここまで、河合隼雄著「ファンタジーを読む」から引用
「ファンタジーを読む」の中で取り上げている大黒真の「見えなくなったクロ」はお勧め。小学生の春山一郎と飼い犬のクロの話なんですが、作者が実際に体験したファンタジーではないかと思うほどリアルです。ショッキングなことが続く気味の悪さを覚えておくといいかも。大人の話に置き換えるとどうなるか?想像すると面白い。
・ユングは、あらゆる心的内容が意志次第だという考え方に警鐘を鳴らす。すなわち、心には意志の力が及ばない自然なプロセスまたは流れがあって、その自然な流れが妨げられるとさまざまな障害が引き起こされ、人間の意識や意志がその流れを止めたり変えることはできないと論じ、これを「無意識的な心の自律性」と呼ぶ。むしろ、意識や心の内容に変化をもたらすのは意志の力ではなく、意識の力が及ばない心の内側で引き起こされるヌミノースムのような宗教的体験なのだという。
・ドイツの神学者ルドルフ・オットーが「ヌーメン性」と呼んだもので、力動的な存在・作用であり、意思によっては引き起こせない。一方、いったんそれが起こると人間の主体性はそれに支配されてしまう。ヌミノース体験が治癒をもたらすと考えられた。
――― ここまで、山中康裕編著「心理学対決!フロイトvsユング」から引用
★ファンタジーが一度きりの映画(現実に戻ると主人公のものの見方や考え方が変化している)
・ゼロ・グラビティ
・素晴らしき哉、人生!
・コンタクト
・キャスト・アウェイ
・青鬼 ver.2.0
・アリス・イン・ワンダーランド
・クローバーフィールド/HAKAISHA
★現実とファンタジーが交錯する映画(何度もファンタジーが現れ、主人公が徐々に巻き込まれていく)
・キッド(ディズニー)
・マトリックス
・サイン
・プロフェシー
・いま、会いにゆきます
★ファンタジー入門映画
・オズの魔法使
・オズ はじまりの戦い
・不思議の国のアリス(アニメ)
・ナルニア国物語
・ハリーポッター
・ロード・オブ・ザ・リング
ここからは、過去の記事。
良い映画は繰り返し観るので、その都度更新します。
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ゼロ・グラビティ
・主人公ストーン博士が八方ふさがりで死にゆく準備をした後、ファンタジーが発動します。
・映画「素晴らしき哉、人生!」もそうですが、「内的な死」→「ファンタジー」→「再生」という形をとるようです。似た様な不思議体験をした人は意外と多くいそうな気がします。
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三十四丁目の奇蹟(1947年)
・サンタは居るのか?居ないのか?と問われたら、ボクは「居る」と答えます。しかし「私がサンタです」とのたまう人が現れたら困ります。
・そのサンタと名乗る老人は次々と奇蹟(幸福)を起こすのですが、それを現実的な方法で成すのが凄い。
・最後は「もうこの人、サンタでいいよ」と思った。
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さまよう魂たち
・FBIのダマーズ捜査官が面白い。20年以上の豊かな経験を持つ超科学心理のプロなんですが、いろんなもん背負っちゃって生きるのが大変そうな人。
1)飛行機が苦手。
2)女性の金切り声に弱く、すぐに嘔吐する。
3)パーソナル・スペースが異常。肩を叩いただけで過剰反応。
4)カルト集団への潜入捜査で負った?傷、刻印が身体のいたる所に。
5)痔持ち。
6)おそらく彼は根っからのオカルト好き。
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シックス・センス
・久しぶりに観ました。たぶん5、6回目ですが、今回新たな発見がありました。
・他人の魂(幽霊)を見ることができるなら、魂が生み出すファンタジーも見えるのではないか?
・この仮説は二人以上が同じファンタジー世界を体験できてしまう謎を解くヒントになりそうです。
1)「オズの魔法使」でドロシーがオズの国に入れた訳。オズの国はオズさんのファンタジーです。
2)「涼宮ハルヒの憂鬱」でハルヒとキョンが同じ閉鎖空間に居た訳。
3)「ナルニア国物語」で4兄妹がナルニア国に入れた訳。民族や家族共通のファンタジーがあるのかもしれません。
・劇中で扱われた精神疾患に「代理ミュウヒハウゼン症候群」があります。少年コールはその犠牲になった子のため、またその妹のために小児精神科医マルコムと動きます。
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17歳のカルテ
・いくつかの映画感想サイトを見ると境界性人格障害の誤解があるようです。その障害を持つ主人公スザンナが入院患者の中で一番まともに見えるからでしょうか。
1)軽く見てはいけないのは、スザンナが自殺(未遂)を図ったこと。彼女たちは慢性の自殺願望があります。これが最も深刻です。
2)何人の男性と寝たら淫乱などという議論は意味がありません。彼女たちの中には自分を傷つけるために男と関係する人もいるからです。たとえ恋人や夫が居たとしても。劇中では大学教授との関係でその妻とトラブルになります。
3)スザンナの幻覚はカットされましたが、それらは特典映像にあります。「スーパーの肉」がヤバイ。あれは腰が抜ける。
・監督の音声解説によると、スザンナはその後退院した仲間と会ったそうです。リサには子供がいたとか。あとデイジーは退院してなくて病室で亡くなりました。いずれにしてもデイジーの死がスザンナの転機になったのは確かなようです。
■
チャーリーズ・エンジェル(2000年)/
フルスロットル(2003年)
・クリスピン・グローバーが演じる「ヤセ男」が面白い。彼は女性の髪を嗅いで興奮する性目標倒錯者。
・仕込み杖を持ち歩き、剣術でエンジェル達と闘います。
・続編の「フルスロットル」でヤセ男の過去が明らかになりました。彼は山で保護され、修道院に引き取られる。このとき7歳で健康体なのに言葉を話さなかった。修道院ではアンソニーと呼ばれる。普段はシャイなのに月に一度の散髪でシスターの長髪に異常な反応を示した。この時点で既に倒錯していたのか、それとも散髪が原因なのかは不明。
・よく見ると格闘前や格闘中に髪を嗅ぐのでマリオのキノコやポパイのほうれん草的なパワーアップ・アイテムなのかも。
■
素晴らしき哉、人生!(1946年)
・これまた素晴らしい心的ファンタジー作品でした。私の解釈では天使クラレンスが主人公ジョージの魂になります。当然、彼のことは何でも知っています。
・薬局でバイトしてるジョージが凄いイケメン。カウンターにずーっと居座ってるメアリーが良い。
・「耳が不自由になるのって意味あったの?」や「階段の玉ねぎ、いい加減直せよ!」の様な疑問やそうでない出来事まで、最後に全て回収されて驚いた。
・アメリカではどの大学の映画科でも、この映画が学生の指針となっているようです。
■KISSingジェシカ
・主人公ジェシカはヘレンとの出会いがきっかけでコンプレックス※の逆襲に遭う。衝撃のキス、翌朝ご機嫌なジェシカ、笑えます。
・鑑賞後は、彼女はヘレンのアートな生き方に引き付けられたのではないかと思った。無意識にある何かが反応して何かに夢中になる感覚は恋に似ていると思う。
・ジェシカが好きな画家ジョージア・オキーフの作品を画像検索で見ると、やはりジェシカはレズビアン?
※コンプレックスとは感情に色づけられた心的複合体のことで、その内容を自我に統合し、自己実現を目指すのがユング心理学。
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ディープエンド・オブ・オーシャン
・チェストの使い方が上手い。箱を開けたのは兄ビンセントと母ベス。箱は女性の象徴で、中にあるのは大切なもの。
・人さらいを題材にしているせいか、全体の雰囲気が重苦しいです。それでも終盤の急展開は優秀。
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あなたになら言える秘密のこと
・主人公ハンナの心的ファンタジーによる人格統合という見方もできます。
・休暇中に過去を振り返っていたら(海底地層の掘削中に)トラウマに遭遇(火災事故発生)。
・ハンナ(別人格のコーラ)は大火傷したジョセフ(暴行を受けたハンナ)の看護をするため油田掘削所(監禁されていたホテル)へ向かう。
・傷ついた自分を抱きしめて涙を流すと除反応で神経症が治ったディズニーの「キッド」に似ています。
・掘削所にいた従業員は全てハンナの別人格である可能性も。
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フェイス/オフ
・影(シャドー)は絶対悪ではない。が、言うは易しである。
・主人公・FBI捜査官アーチャーの影と対面したその妻と娘。娘は父の腕を銃で撃ち、もう一方の父の太ももをナイフでえぐり、妻は我が子を殺めた憎むべき男に抱かれるという、人生が一変するような凄まじい体験をするのです。
・影はアーチャー家族の足りなかった所を補います。アーチャーもまたトロイ家族のその一部を補います。
・そしてラストは影を受け入れます。
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キッド(2000年)
・またもや良い心的ファンタジー映画に出会いました。冒頭からファンタジーが動き始めています。
・主人公ラスとセラピストのやり取りが面白い。まるでコント。
・エイミーの爪を噛む癖から、ラスの目の痙攣は自分の過去に問題があることに気付く(欲求の抑圧からくる倒錯行為。詳しくはフロイトの神経症理論を)。
・過去を思い出すために車を走らせていると、隣を走るトラックの荷台に吠える犬(冥界からの使者)。よく見るとトンネルの中!ここからが心的ファンタジーの真骨頂。
・少年ラスティや老紳士ラスは過去や未来から来たのではなく、ラスの魂なんです。私たちの魂は想像を絶して言葉で言い表せません。ディズニーとブルースに感謝。
・ラスは少年時代に母親に甘えられなかった分、秘書ジャネットがその代役を務めてる感じ。何かあれば彼女に電話。就寝中でも構わず電話。それでもちゃんと応対してるジャネットが面白い。最初に少年に会わせたのも彼女。自宅の合鍵を持たせているほど信頼している。
■
コンタクト(1997年)
・15年ぶりぐらいに「コンタクト」を観たら驚愕の内容でした。
・重要人物は主人公エリー、ジョス、ハデンの3人。特に初見で印象の薄かったハデンという男が恐ろしい。いや、原作者のカール・セーガン氏か。
・ハデンは異星人の正体を知っています。そこでエリーを調査して、彼女なら異星人にコンタクトできると確信、人生最後の大芝居(貢献?)を企画。ベガからの信号や輸送装置の設計図はハデンの仕業。これらは調査委員会でキッツ氏が指摘した通りですが、エリーが体験したことは事実です。
・ところで、エリーの父が倒れた時に床に散らばったポップコーンの配置がメッセージのよう。電波望遠鏡?父の居場所?もちろん配置は偶然ですが。
・そして、エリーの前に現れた「神父」のジョス。彼が食べていた「ポップコーン」菓子のおまけが「方位磁石」。ジョスはエリーの命を2度救うことになります。
・異星人に会えるのはエリーだけで、一度きり。あのバカデカイ機械に輸送機能は無く、ファンタジーの扉を開くためのお膳立てに過ぎません。
・輸送システムは全ての人に備わっています。ゆえに異星人は「我々は作ってない、既にあった」と言った。エリーは自分自身の魂に遭遇しているのですから。
・自爆テロ犯曰く「魂への冒涜だ」。これには同意するが何も自爆するこたぁはない。
・心的ファンタジーは自己補強妄想でも幻覚でも夢物語でもなく、もう一つの現実です。 頬をつねっても目を覚ますことはありません。怪我をすれば血が出るし、命を落とせば当然死にます。映画「マトリックス」はとても良い例で、どちらが本当の現実なのか混乱することでしょう。
・地上時間が1秒でも異世界では数時間、数日、数年経過していることがあります。映画「ナルニア国物語・第一章」ではいつの間にかナルニアが主人公たちの現実になっていて10年以上経過しています。元の世界では数分でしょうか。
・「不思議の国のアリス」の続編、映画「アリス・イン・ワンダーランド」は心的ファンタジーを意識した内容になっています。
・映画「キャスト・アウェイ」は現実の話ですが、無人島生活を心的ファンタジーに置き換えられます。ファンタジーは人を変えます。
■
羊たちの沈黙
・レクター博士は初めてクラリスに会ったときに連続殺人事件の捜査協力を決めたのではないかと思った。若くて綺麗な女性を見たことで光や希望を感じ、今の牢獄から条件の良い施設に移りたいと思ったとしても不思議じゃない。それに8年ぶりに見る女性でFBI訓練生とくれば少しは油断するだろう。まずはクロフォード主任の作戦成功。
・初回は不愛想にクラリスを追い返したレクターだが、帰り際に別の患者がクラリスの顔に精液を投げつけたため、彼女が二度と来なくなっては困ると慌てて容疑者に関連する情報を提供する。無礼なふるまいに対して過剰反応するレクター博士だが、ラポールを形成するためかもしれない。
・人質が助かったなら森の見える病院に移送するという条件で容疑者の情報を得るはずが、何故かクラリスの精神分析も要求される。
・クラリスが自身のトラウマを克服するには羊小屋での恐怖を再体験する必要があった。つまり彼女は一人で被害者救出と事件を解決せねばならなかった。それはレクター博士も分かっていて、任務を外されていたクラリスにあえて助言している。クラリスがFBIに入ったのは反復強迫の影響?
・レクター博士が逃亡したとき、クラリスは身の危険を心配する同僚に対して「訳は説明できないけど、自分は狙われない」と言う。これはラポールなのか?ストックホルム症候群なのか?キャサリンの件が終わるまで大丈夫と思われるが、自分は狙われないと思い込むのは間違い。 実際、次作「ハンニバル」で大変な目に遭うことに。ストックホルム症候群の本当の恐ろしさを知るには「FBI心理分析官」を読むとよいでしょう。著者の体験が語られています。
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HK/変態仮面
・正義+変態=色丞狂介(しきじょうきょうすけ)=超英雄
・色丞狂介は対人関係を円滑にするために変態を抑圧せねばらなかった。常識的な判断だが、正義感だけの狂介は弱かった。
・狂介は、立てこもり犯から人質の愛子を取り戻すために変態仮面を必要とした(図1)。みごと犯人を成敗し、愛子を救出する。
・愛子は変態仮面のことを「カッコイイ」と言うw
・狂介を上回る変態の敵が現れる。相対的に狂介の変態度が弱まることで抑圧から解放され、愛子にカミングアウトする。
・対立していた正義と変態が一体となった狂介は、愛子から貰い受けたパンティで最強の変態仮面になる。
・主役の二人がずば抜けて良い。
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ツレがうつになりまして。
・身内から鬱が出たら、まず観るべき教科書的映画。コメディ調なので観やすいです。
・ハルの漫画が載ってる雑誌を配達、天井のシミ、不自然なバイバイ、カミソリで切る、視聴者だけが気付く布置。実際あると思います。
・PCサポート業務でツレに負担をかけまっくてたおっさん(梅沢登美男)が講演会に現れて感謝の意を伝えたラストシーンは救われます。聴衆の盛大な拍手はツレや視聴者も感じていたストレスを浄化する効果があります。
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壁男
・内でも外でもないミディアムな存在の壁。
・ミディアムの複数形はメディア。私たちはメディアを通して壁男を知ることができる。
・では、壁男そのもの、メディアそのものを見たことのある人は居るだろうか?
・価値のある1本です。
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青鬼 ver.2.0
・卓郎のファンタジー体験。実際に4人は屋敷に入っていません。屋敷内の出来事は卓郎が蝶を見た時に、彼が一瞬で体験したファンタジーなのです。
・「青鬼」はトラブル円満解決の兆候。「蝶」は成長や変化、人生の節目を暗示します。
・またいで侵入できる施錠された柵、いくら下りても続く階段、椅子に上らなくても手の届く所にあるアイテム。高さにユーモア有り。
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クリーピー 偽りの隣人
・犯人の西野は言葉巧みに相手を騙し、薬でマインドコントロール、その家族を乗っ取る。警察をも手玉に取る男。
・高倉の妻・康子は西野に褒めてもらうために料理を作る承認欲求が強すぎる女。夏に前日のシチューの残りは迷惑だが、量から見て実は作りたて。まんまと西野の術中に陥る。
・西野の話術のカラクリ
(1)目標の相手を驚かせるなどして変性意識状態にする。
(2)すぐさま褒めるなどしてドーパミン(脳内の快楽物質)を放出させる。
(3)これを何度も繰り返すと、相手は西野の顔や声だけでドーパミンが出るようになる。
(4)あとは何もしなくても相手から寄ってくる。
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起終点駅 ターミナル
・鷲田と隣に住む大村さんが対照的。浅い所でしか通じない鷲田に対して、大村さんは浅い所で通じないが深い所で通じてます。ゆえに結婚式の招待状や大事な手紙が大村さんの家へ行ったり、”最後のアスパラ”が出てくる。冷やし中華で合掌、仏壇で合掌。こんなの現実で体験すると怖くなる。
・廊下で足の不自由な南先生とすれ違う場面にめちゃくちゃウケたw北野武の映画にありそう。
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版(序、破、Q)
・今頃になって、綾波レイが霊的アニマではないかということに気付いた。偶然にも前回取り上げた「いま、会いにゆきます」のヒロイン澪(みお)もそうである。
・アニマとは男性が求める理想の女性像のこと。ユング心理学でいうアニマ像は4段階あり、その3段階目が霊的アニマ。
・霊的アニマの代表的なイメージは聖母マリア。具体的には、母親としての愛と、乙女の清らかさが共存しているイメージ。つまり母であり処女である女性。
・綾波レイは、同級生であるシンジの母ユイのクローン。
・「いま、会いにゆきます」の澪は佑司の母親であり、秋穂巧(あいおたくみ)と結ばれる前の澪である。
■
いま、会いにゆきます
・冒頭から緩さ全開のファンタジーです。
・雨の季節に澪(亡き妻)が戻ってくることは科学的にありえないと言う野口医師のTシャツの絵柄が逆さのカブトムシ。これはユングのスカラベの話で、共時的に起こりうることを意味します。
・次の面談ではユニオンジャックのTシャツ。これは澪が戻り、3人が一緒に居ることを示します。
・次に何の柄が来るかとワクワクしてたら、なんとカラスが来た!太陽の化身、再生のシンボルである。これはもう偶然じゃないと、いつもは見ないエンドロールをガン見w すると医療指導・堤邦彦のクレジット。精神科医でした。
・実際に患者と治療者の間でこの様な不思議なことが起きるようです。心理療法士を目指している人は参考にしてもいいかもしれません。絵柄Tシャツを用意するとかじゃなくて患者との距離感。
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白雪姫(1937年 米)
・女王の嫉妬により、森の奥深くでガラスの棺に閉じ込められた白雪姫が自立するために内面的な「母殺し」をやり遂げる物語。王子の視点ならドラゴン退治の英雄神話。
・女王はネガティブマザー、森は無意識、棺は死と再生の象徴。まさに白雪姫は女王のコンプレックスとなる。
・冒頭で面白いのが、女王が鏡の前で語りかけると醜い男の顔が映り、白雪姫が井戸の中に向かって歌うとイケメン王子が現れる場面。鏡は内面を、井戸は潜在意識や可能性を表します。井戸に豊富な水があれば未来が明るい。白い鳩の群れも吉。
・女王の羽を広げた孔雀の玉座は虚栄心やプライドの高さを表し、7人の小人は白雪姫の心の未発達な部分や、夢見がちな部分を表します。
・原作の初版では、女王は白雪姫の実母である。のちに継母に変更される。最後は王子と白雪姫の結婚式で、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされました。また、白雪姫は王子のキスで目覚めたのではなく、王子の召使の一人が頭に来て、白雪姫の背中をド突いたことがきっかけ。
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プロフェシー(2002年、原題:The Mothman Prophecies)
・謎の蛾男にまつわる怪奇現象と実際に起きたシルバー橋の崩落事故がジョンとコニーの無意識の願望実現に利用される話。
・セカイ系は虚構の現実化を描くが、「プロフェシー」は虚構と現実の等価化を描いていると思われる。つまり怪奇現象という虚構を現実化、橋の崩落事故という現実を虚構化して、二人は願望を実現した。
・録音した電話の声の分析シーンが変。おそらくジョンの妄想。
・コニーの予知夢が心理的に良く出来てます。
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エターナル・サンシャイン
・ケンカ別れしたカップルが互いの記憶を消す手術を受けるが、途中で間違いに気づいた彼はアニマの隠し場所に奔走する。
・アニマを隠すより必要なのはただひとつ。その答えは真実だ。
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クローバーフィールド /HAKAISHA
・例えるならアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」に出てくる閉鎖空間の実写版。
・生死がかかった状況でもカメラをまわし、しゃべり続けて視聴者の怒りを買うカメラ担当。ハンディカム映画のお約束になるのだろうか。
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プッシーチャッツ
・音楽CDにサブリミナルCMを仕込み、ユーザーをマインドコントロールして金儲けを企むのだが…。
・劇中に大量のCMが仕込まれています。いくつあるでしょう?
・ネット上にはサブリミナルを仕込んだ動画が多くあります。特に繰り返し視聴する動画に気をつけましょう。
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恋愛小説家
・メルビンの手洗い方法や照明のオンオフはやり過ぎだと思ったが、実際の強迫性障害はもっと辛いようです。
小林司著「心の謎を解く150のキーワード」からの事例。
1)手を一日に何百回も洗う。
2)自宅から学校までの道路沿いの家の扉に全部さわる。
3)枕がベッドの真ん中にないと不安で、両側を物差しで測らないと眠れない。
・メルビンのキャロルへの褒め言葉は回りくどいが説得力がある。
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ドリームキャッチャー
・分裂していた人格の統合過程として見ると辻褄が合う。
・特典映像にあるオリジナル・エンディングによるとダディッツは33歳。カーティス大佐はエイリアンと25年間戦っているので、ダディッツのトラウマ(UFO墜落)は8歳頃に出来たと思われる。そして13歳の時に分裂した人格のうちの4人と出会う。
・ケツを食い破って出てくるエイリアン、ブルーボーイ、SSDDから想像するにトラウマの原因は性的虐待。
・精神科医のヘンリーは超能力で読み取った過食症患者の秘密を暴露してその患者を怒らせる。
・登場人物のほとんどがダディッツの別人格と思えば、頭の中を覗かれてもおかしくない。
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バットマン ビギンズ
・レイチェルがブルースに渡した誕生日プレゼントの意味とは?
矢は非難や愛情を表します。なのでブルースのプレイボーイ生活を非難しつつも、昔のブルースに戻って欲しいという願いが込められていると思われる。「矢の先」は二人が結ばれるときにブルースからレイチェルに渡されると良いと思う。
・患者がつぶやく「スケアクロウ(かかし)」について、クレイン博士の解説
字幕「患者は自分を苦しめる何者かを幻覚の中に見る。ユングの元型のどれかで、彼の場合はスケアクロウだ」
吹替「妄想の対象はほとんどの場合、患者の内面ではなく外の世界に存在します。これは大抵ユングの元型と一致する。この場合はかかし、スケアクロウ」
■
チャーリーとチョコレート工場
・児童書が原作、ジョニー・デップ主演のファンタジー映画。
・まず、チョコレート工場を主人公ウォンカの意識、工場の外を無意識、招待客を彼の自我を脅かす者(コンプレックス)とする。
・ウォンカが克服している食欲、物欲などの過剰な欲望を撃退するのは朝飯前で、同伴者共々お灸を据えます。
・しかし最後に残ったチャーリーは彼が今まで避けてきた問題であった。
・ウォンカはチャーリーの助けを借りてその問題を克服する、という物語。
・道端に落ちていたお金の意味を考えてみた。
1)ウォンカが落とした大事なもの。
2)チャーリーにとってのウォンカの価値。
3)お金では買えないもの。
・無意識の深~い所にある宝物は、チャーリーのおんぼろの家の様な所にあります。
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危険なメソッド
・ユングやフロイトの心理学をかじっている人に必見の内容です。
・ユングとグロス博士のやり取りが面白い。ユングの不倫をフロイトが画策したような印象を受けるが、ザビーナとの関係はグロスに会う前かららしい。
・妻から贈られた紅い帆のヨットでザビーナと寝るユング。
・外在化現象の音が想像していたのと全然違った。たぶんザビーナのお尻とフロイトを叩く音の3種類が混ざってる。
・ユングの眉間のしわ、勝負演技のザビーナ、フロイトの口調、良いです。映像も綺麗。
・ザビーナ「もし性行為が相手と融合することなら、個は個の中に没入し、自己は破壊されてしまう。だから自己防衛が働いて性は抑圧される。本当の性衝動は自我を破壊するが、新たな存在を生む創造的な力でもある。」
・ユング「病気の正体を探るだけでなく、患者の再生を助けたい。患者が目指す人物に導きたいんだ。正気の医師には治せない。」
■
レッド・ドラゴン(2002年)
・犯罪精神科医、レクター博士3部作の第1章。連続猟奇殺人犯Dの物語。
・まず、変に思ったのがD宅に祖母の肖像画が飾ったままなこと。Dの中のもう一人の人格が自我を支配するために飾らしているのだろうか。これは怖い。
・Dが木に刻んだ文字「中」は麻雀の三元牌の「中」でレッド・ドラゴンとも言われる。中の龍=無意識の龍=グレートマザー=祖母。しかも普遍的悪と結合した怪物。
・Dが恋をすると英雄神話のように倒されるのを恐れるドラゴン。ここから自我とドラゴンの戦いが始まる。
・おまけ:全裸でリーバを探すDはフリチン。何かプラプラしてます。
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